
ファクタリングは、企業が売掛金を現金に変えるために利用する資金調達手段として非常に有効ですが、いくつかの落とし穴があります。ここでは、特に注意すべき5つのリスクとその対策について詳しく解説します。
目次
1.ファクタリングとは?基本の仕組みをおさらい
ファクタリングは、企業が所有する売掛金をファクタリング会社に売却することで、早期に資金を得る方法です。このプロセスによって、売掛金の支払期日を待たずに資金を調達でき、キャッシュフローの改善に繋がります。ファクタリングには主に以下の2種類があります。
- 2社間ファクタリング
利用企業とファクタリング会社の2社間で契約が成立し、売掛先には通知されません。しかし、手数料が高くなることが多いです。 - 3社間ファクタリング
売掛先の承認を得た上で、ファクタリング会社が直接売掛金を受け取る形です。手数料は低めですが、売掛先に取引の内容が知られるリスクがあります。
ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、利用前に検討すべき重要なポイントがいくつかあります。下記では、特に警戒すべき5つの落とし穴とそれに対する対策を解説します。
2.落とし穴①:手数料が想定以上に高くなることがある
【リスク】
ファクタリングの手数料は、売掛金の額や取引の形態により変動します。特に2社間ファクタリングでは手数料が5%から20%と高額になることが多いほか、契約に際して追加費用が発生する場合もあります。これには次のようなものが含まれます。
- 事務手数料
- 売掛金の信用調査費用
- 契約更新費用
【対策】
- 複数のファクタリング会社の手数料を比較し、適切な価格を見極める。
- 契約書を入念に確認し、隠れた手数料がないか調査する。
- 手数料が比較的低めの3社間ファクタリングを検討する。
3.落とし穴②:悪質なファクタリング会社のトラブルに巻き込まれる
【リスク】
ファクタリング業界には、不当な高金利を要求する業者や、契約時に不当な手数料を請求する業者も存在します。
【対策】
- 金融庁に登録された信頼性の高い業者や、実績を持つファクタリング会社を選ぶ。
- 契約内容を精査し、疑問点があれば事前に確認する。
- 手数料が極端に安い業者には警戒し、後に不当な請求を受けないように注意する。
4.落とし穴③:売掛先にファクタリング利用がバレる可能性がある
【リスク】
3社間ファクタリングを選ぶと、売掛先にファクタリング利用の通知が必要です。また、2社間ファクタリングでも売掛金の振込先が変更されることで気づかれるリスクが生じます。
【対策】
- 売掛先に知られたくない場合には2社間ファクタリングを選ぶことが有効です。
- 売掛金の振込先の変更に目立たない方法を事前に相談する。
- 売掛先との関係性を踏まえ、3社間ファクタリングを利用しても問題ないかを事前に考慮する。
5.落とし穴④:審査に落ちる・希望額を調達できないことがある
【リスク】
ファクタリングの審査では、売掛金の信用力が重視されます。したがって、売掛先の経営状態が悪い時や、過去に支払いが遅延した場合、審査が通らないことが考えられます。
【対策】
- 売掛先の信用情報を事前に確認しておく。
- 取引実績が安定している売掛金を選び、ファクタリングを利用する。
- 審査基準が柔軟なファクタリング会社を選ぶ(特に中小企業向けの業者など)。
6.落とし穴⑤:資金繰りがさらに悪化するリスクがある
【リスク】
頻繁にファクタリングを行うと、手数料がかさみ、結果として資金繰りが厳しくなる可能性があります。また、売掛金を継続的に売却することで、会社全体の利益率が低下する恐れがあります。
【対策】
- ファクタリングは緊急時の資金調達手段として活用し、長期的な資金計画を立てることが肝要です。
- 銀行融資や補助金など、他の資金調達手段も併用する。
- 資金繰りの見直しを行い、ファクタリングに依存しない経営を目指す。
まとめ
ファクタリングは、企業にとって非常に強力な資金調達手段ですが、適切に活用しないと逆に経営を圧迫することもあります。安全に利用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 複数のファクタリング会社を比較し、信頼できる業者を選ぶこと。
- 手数料や契約内容をあらかじめ確認し、予期しない費用が発生しないよう注意すること。
- 資金計画をしっかり立て、必要な時にのみファクタリングを利用すること。
- ファクタリング以外の資金調達方法も検討すること。
ファクタリングを賢く活用し、健全な資金繰りを維持するための一助となれば幸いです。